ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
どうだっていいって…。

そんなの、どうだっていい問題なわけがない。


「だって俺は、中3のときに、莉子のそばにずっとおるって決めたから」

「ずっとって言ったって…。これは、大河の人生だよ…!?」

「だから、莉子のそばにいたい。もう心が離れるようなことはしたくないから」

「大河っ…」


ずっとそばにいたい。


迷いなくそう言ってくれることは、とてつもなくうれしいことのはずなのに――。

わたしは、それを素直に喜ぶことができなかった。


だって、大河が清鳳大学にきても、野球が強い学校でもないから、やりたいことなんてないはず。

それなのに、わたしのそばにいたいがためだけに、これまで積み重ねてきた野球の努力や成果をすべて投げ捨てるなんて――。


そんなの間違っている。


学校でも、大河がすべてのオファーを断って、清鳳大学を志望しているという噂が広まっていた。
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