ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
元野球部のメンバーですら、大河の説得にきているほどだ。


それくらい、大河には野球の才能がある。

プロでもやっていけるくらいの実力があるんだ。


なのに、その大いなる可能性を…わたしが潰そうとしている。

わたしがそばにいる限り、きっと大河はその意志を曲げない。


なぜなら大河の性格は、まるで豪速球のストレートボールのようにまっすぐだから。

一瞬の気の迷いで曲がるような変化球ではない。


それを知っているから、…つらかった。


大河は、わたしと一生いっしょにいようとしてくれていることに。


できることなら、わたしだって大河と一生いっしょにいたい。

でも、ここでわたしたちが同じ道をたどることは間違っている。


大河の大事な人生なのに、それをわたしが邪魔している。


だから…。

わたしは悩みに悩んだ末、大河に伝えることを決めた。
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