ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
唇を噛み…。

心を殺して…。


最後に、大河に告げた。


「同じ大学に行きたいとか、正直…重いの。わたしは、そこまでのことは望んでないから。だから、別れて」



あれは、わたしの嫌いな雨の日だった。


これっぽっちも思ってもいないことを大河に投げつけ、傷つけた。


…ごめんね、大河。

本当にごめんね。


でも、こうでもしないと大河の気持ちは変わらないだろうと思ったから…。



後日、大河が改めてプロ入りを志望するという噂を耳にして、わたしの選択は間違いじゃなかったんだと思えることができた。


あのまま、わたしといっしょにいたって、大河の人生を潰してしまうだけだから、これでよかったんだ。


夢を捨ててまで、わたしのそばにいようとしてくれありがとう。

本当にうれしかったよ。
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