ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
――もしかして!


「…あっ!ちょっと待ってや!」


そのコのものかと思い、俺は慌ててあとを追いかけた。


しかし、そのコは俺の声が聞こえると、なぜか急に走り出してしまい、角を曲がったときにはいなくなってしまっていた。


…思ったよりも、足が速かった。


そこは、少し驚きだった。

俺も、一応足には自信があったから。


だけど…。

どうすっかなー、これ。


俺は、イヤホンケースを握りしめる。



「おっ!大河が戻ってきた」

「なにしに行ってたん?」

「さっきのコ、知り合い?それとも、ナンパ?」

「ちゃうちゃう。たぶんイヤホンのケースを落としたみたいで、返そうと思ったんやけど、途中で見失った」


確か、このケースにイヤホンをしまって充電するんだったよな?


つまり、このケースがないとイヤホンが充電できない。
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