ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
だから、渡したほうがいいと思って追いかけたんだけどな…。


「知らん男がいきなり追いかけてきたら、そりゃビビるやろ!」

「しかも、あのコのものかもわからへんのやろ?」

「落とし物やったら、店員さんに預けといたらいいやんっ」

「てか、ちょうど席空いたんやし、大河早く食べたら?アイス溶けるで?」


…あっ、忘れてた。


ひとまず、店員さんに渡すのはあとにして、俺はさっきまであのコが座っていた席に座った。



そして、帰宅後。


「大河〜!ユニフォーム洗えたら、こっちに持ってきてな〜」

「はいは〜い」


母さんに返事をしながら、俺はユニフォーム姿から部屋着姿へと着替える。


脱いだユニフォームを洗うのは、俺の仕事。

野球チームに所属したときから、それは変わらない。


…えっと、ポケットにはなにも入ってないよな。
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