ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
だから、このときの俺は思ってもみなかった。


このワイヤレスイヤホンのケースの持ち主――。

つまり、あのコにまた再会できるだなんて。


しかもそれが、俺の人生にとって、かけがえのない大切な人との出会いになるなんて。



「悠、また同じクラスやんっ」

「ほんまやな!またよろしく〜」


俺は、悠と並びながら1年3組の教室に向かった。


隣にいる悠とは、幼稚園からの付き合い。

小学校でも何度か同じクラスにはなったし、同じ野球チームにも所属している。


ちなみに、野球チームではバッテリーを組んでいる。

俺がピッチャーで、悠がキャッチャー。


だから、今日の入学式にも、「また同じクラスかもな」なんて話しながらきたら、まさかの同じクラスだった。



1年3組の教室に着くと、さっそく黒板に書かれていた座席表に目を通す。
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