ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
だけど、それよりも気になることが――。


「…って、なんで標準語?」


このあたりじゃ、標準語なんて聞き慣れない。

そこに、とっさに反応してしまった。


「わたし、東京から引っ越してきたばかりなの。だから、まだこっちの生活に慣れてなくて…」


転校生なんているわけないと思っていたけど、まさかの目の前にいた。


「へ〜。わざわざこんな田舎に引っ越してきたんやっ。周り、みんな知り合い同士でビビったやろ?」

「…うん。すごく浮いてる感じがするっ」

「まあ、でもみんな悪いヤツとちゃうし、そのうち仲よくなれるから大丈夫やって!」

「あ…ありがとう」


コンビニで見かけたときは、愛想がないと思ったけど、話してみたらそんなことはなかった。

ただ、この土地に慣れていないだけだった。



「…で。そこ…、わたしの席なんだけど…」
< 38 / 294 >

この作品をシェア

pagetop