ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「ああ、そやったな。勝手に座ってて、ごめんごめん!」


俺は、慌てて席を立った。


「そういえば、名前は?」


せっかく、同じクラスになったことだし。


「…え?えっと…、桜庭です」

「ちゃうちゃう!下の名前っ」

「下…!?」


あまりにも驚くから、変なことでも聞いてしまったのかと思った。


でも、俺たちの仲じゃ男子も女子も関係なく、下の名前で呼ぶのが当たり前となっている。


「桜庭…莉子です」


手をもじもじさせながら恥ずかしそうに、小さな声が聞こえた。


「莉子なっ。俺は、矢野大河。こっちは悠」


俺は、悠に顔を向ける。


「大河くんと…、悠くん…」


それを聞いて、ちょっと歯がゆくなった。

くん付けなんて、されたことがなかったから。


「大河でええよ!」
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