ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
なんでいやなのかはわからないけど…。

…なんかいやだ。


――そう思っていたのだけれど。



「ごめん」


静かな校舎裏に響く、大河の声。


「…えっ」


そうつぶやいて顔を上げたのは、ボブのコだけではない。

わたしも同じだ。


「悪いけど、最後の大会も近いから、今は野球以外のことは考えられへん。やから、…ごめん」


大河は、申し訳なさそうに頭を下げた。


なんだかんだで大河は優しいから、断らないと思っていた。

でも、そこはやっぱり大河だった。


野球以外のことは考えられない…かっ。


大河らしい。


しかし、涙目のボブのコを庇いつつ、両隣の女の子たちは食い下がる。


「じゃあ、その大会が終わったら、このコのことを考えてくれますか!?」

「このコ、小4のときから矢野先輩のことが好きだったんです!」
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