ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
大河に迫る女の子たち。


泣き出してしまったボブのコと、あんなふうに付き添いの女の子たちに詰め寄られたら、さすがに断るに断れな――。


「ごめん。それでも、付き合えへん」


だけど、大河はキッパリとそう答えた。


「…どうしてですか!?」

「もしかして…、受験があるからですか!?それなら、このコは一切邪魔はしないですから――」

「ちゃう。そういう問題やないねん」

「じゃあ――」

「俺、好きなヤツおるから」


大河のそのたったひと言で、さっきまでの女の子たちの勢いは一瞬にして消え去った。


「…そうなんですか?」

「ああ。やから、他のヤツと付き合うとか考えられへん。…ごめんなっ」


大河はそう言うと、泣きじゃくるボブのコの頭の上にそっと手を置いた。


そして、こちらを振り返りそうになったから、慌てて悠と校舎の陰に隠れた。
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