ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
…どうしよう。

心臓が、うるさいくらいに鳴っている。


でもこれは、危うく覗き見していたのをバレそうになったからじゃない…。


『俺、好きなヤツおるから』


まさか、大河に好きなコがいるとは思っていなかったから――。

それが…衝撃的すぎたんだ。


…そもそも、大河の好きなコって…だれ?

わたし、なにも聞かされてないんだけど…。


わたしたちって、なんでも話せる仲じゃなかったの…?


それなのに、いつの間にか…大河には好きな人がいた。


隠されていたのが、いやってわけじゃないけど――。

大河に好きになってもらえる女の子なんて、一体どんなコなんだろうっ…。


そんなことを考えてしまった。



「…おいっ!莉子!」


ふと悠の声が聞こえて、我に返る。

見ると、悠はわたしの腕を引っ張っていた。
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