ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「どうかした?」

「どうかした?…やないって!大河がこっちくる…!」

「えっ!?」


ここにいるところを大河に見られたら、なにを言われるかわからない。


わたしたちは、なるべく足音を立てないようにして、校舎の中へ隠れたのだった。



「「おかえり、大河〜」」


わたしと悠は何食わぬ顔で、戻ってきた大河を出迎える。


「なんやったん?」

「…ああ。べつに、大した用とちゃうかった」


わたしたちが見ていたことも知らず、大河は悠の質問に対して平然として嘘をついていた。


「ってか、悠がジュース飲んでるとか珍しいなっ」

「これは、莉子に奢ってもらった〜」

「…莉子が?俺の分は?」

「大河の分はないよっ」


これは、賭けに負けたせいなんだから。


「悠には奢って、俺にはナシってズルいぞ〜」
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