愛され相馬くんの話
あまりにも
あまりにも距離が遠すぎた。






「龍太郎、俺、陸と付き合うことになった。だから、その……アドバイスとか……」


出来るわけねぇだろ、あんたが初恋の人なんだから。


嗚呼、相馬さん。


貴方とボクは距離が遠すぎた。


ボクだけだったんだ、一方通行は。


「…………幸せになりなよ」




違う、こんなこと言いたいんじゃないんだ。


ボクは……ボクは……











「貴方が好きだ」












泣かないで、泣かないで相馬さん……。


ボクが悪い、今思いなんて伝えるから。


でも、伝えられずにはいれなかったんだ。



ボクはずっとずっと相馬さんが好きだった。



陸さんと知り合う前からずっと。





彼が寝ている隙に唇を奪ったことだってあった。




あの甘酸っぱい味が………………未だにボクを支配する。




「相馬さん、付き合わないでよ。ボクを……一人にしないで、ねぇ……」




なんて女々しいんだ、前までこんな奴じゃなかったのに……。








「ごめん……許してくれ……ごめん……」



彼の泣き声だけが部屋に谺する。




ごめん、好きになってごめん。




でも、大好きなんだ。






「…………俺は相馬さんを愛してるよ、ずっと」




叶わなくたっていい、側にいれれば……。















(あまりにも距離が遠すぎた………貴方とボクは)
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