愛され相馬くんの話
爪痕
ひとしきりの情事を終え二人でベッドの中……。


相馬は横でスヤスヤと子供みたいな寝顔で眠っていた。 




神奈月はそれをみて
すりすりと自分の人差し指で頬を撫でると一人浴場へ……。



元々、全裸だったため
そのままガラッ……と戸を開け風呂場に入る。 




本当は相馬も一緒に入って
ベタついた体を洗ってやるつもりだったのだが、
ぐっすりと爆睡状態にあるため
また朝一緒に入ってやろう。 


(ひとまず、汗ばんだ体を流したい)



このベタベタな体で相馬を抱きだから寝るというのも
どこか抵抗がある神奈月はシャワーを浴びて
綺麗な体で寝たいと考えた。



そのまま蛇口を捻り
シャワーからは丁度いい温度のお湯が体にかかる。 



彼は少し高めの温度を好んでおり
きちんとその温度に設定してあるところを見て
つい口元が緩んだ。 


(全く……、嫁かお前は……)


そう思いながらシャワーを全身に浴びせ始めると
背中にピリッとした痛みを感じた。 


なんだと思い、目の前の鏡に背中を向けると
5つの爪痕がくっきりと残っている。 


爪痕からはじわっと血が滲み出ていて
行為の激しさを物語っていた。 


「いってぇ……相馬、強く立てすぎだ……」


ニヤッと苦笑するが顔は全く嫌がってなどいない。 


寧ろ神奈月はその爪痕を愛しいとさえ思っていた。 




(相馬が付けた爪痕がこんなにも俺の心をかき乱す)





そのままフッと笑い、顔にシャワーをかけた。 


そしてお湯を止めて、鏡の前で優しく爪痕を撫でた。 




「なんかやべぇぞ、俺…………」







(お前への感情がここまでなんて……我ながらビックリだ)
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