カレンダーガール
12月31日 午後10時。
車で家の前まで行くと、桜子先生はすでに外で待っていた。

「ずっと待っていたの?」
助手席に乗ってきた桜子先生に尋ねると、
「ええ、まあ、少しだけ」
見るからに冷え切った体で曖昧な返事する桜子先生を乗せて、俺は車を発進させた。

普段だと車で30分ほどの神社までの距離が、渋滞のため1時間半かかって到着。
近隣では一番大きな神社だけあって、人出も多い。
駐車場から本殿までも人混みの中を歩くため、気をつけないとすれ違う人にぶつかりはぐれそうになる。
俺はためらうことなく桜子先生の手を取った。

「えっ?」
「はぐれないように、繋いでいよう」
ギュッと手を握ったまま言った俺の言葉に、驚いている様子の桜子先生。

そのまま人ごみの中を歩き、本殿で初詣を済ませたタイミングで、
ゴーン  ゴーン
除夜の鐘が鳴った。

「明けましておめでとう」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
俺たちは新年の挨拶を交わした。
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