カレンダーガール
「君には僕の気持ちが分からないの?」
「わかりま・・・せん」

ポカンとした表情で、俺を見る桜子先生。
ったく、どこまで鈍感なんだ。

「二日酔いで遅刻してきた時、何であんなに怒ったと思う?」
「それは、社会人としての自覚が足りない行動だったから」

「じゃあ、飯田啓介が失踪した時何であんなに強い言葉で止めたと思う?」
「私が犯罪に巻き込まれる可能性があったから」

「じゃあ、クリスマスパーティーの時、何であんなに怒ったと思う?」
「みっともない格好だったから」

「残念。全部不正解。俺の知らない所で酔っ払った事にイライラしたし、元彼を心配する君を見て嫉妬したし、あんな色っぽい姿を他の奴に見せたくなかった。すべては俺のヤキモチだよ」
「嘘」

まだ信じられないのか?
「いい加減気づけよ」
俺はそっと彼女を抱きしめ、呆然とする彼女にキスをした。

それは、とても優しいキス。
重なり続ける唇。
溶けてゆく心。
お互いの鼓動が聞こえそうな距離で、何度もキスを交わした。
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