カレンダーガール
「じゃあ先に行くわ。何かあったら、直ぐに知らせること。いいね」
救急に呼ばれていた明日鷹先生が一足先に席を立ち、ちょっと怖い顔して私に指をさし念を押した。
「はい」
私は、コクンと頷いた。

様子を見ていた剛先生と紗花は、唖然としている。
その後、明日鷹先生を追うように、私たちも食事を済ませ午後の勤務に戻った。


しかし、たまたま午後の勤務が病棟待機だった私は、「2時間ほど外出してきます」と断わり、病院を後にした。
結局明日鷹先生の言いつけを守らず、病院の前からタクシーを拾い、啓介から聞いた住所へ向かった。

ブー  ブブー 
携帯の着信。
明日鷹先生からだとわかっているけれど、今は出られない。

ブ ブ ブー
今度はメール。

『今どこ?』
『なんで言うことを聞けないんだっ』
『直ぐ戻ってきなさい』

明日鷹先生らしからぬ強い言葉は、怒りの強さを表しているようで恐怖すら感じる。
それでも、今戻る訳には行かない。

「・・・ごめんなさい」
この後、何度も着信があったけれど私は無視し続けた。
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