カレンダーガール
｢もうダメだ｣
突然、泣き出す啓介。
｢俺、死にたい｣
えっ。

学生時代、精神科のローテも回った。
たくさんの患者さんを見てきた。
一通りのカウンセリングだってできるはずだった。
しかし、
目の前の弱り切った啓介を見ていると、ただ助けてあげたいとしか思えない。

私は６年も前から啓介を知っている。
彼がどれだけ努力して医学部に入ったのかも、ただ実家を継ぐためじゃなくて本当にいい医者になりたがっていたことも。
そして、心の優しい啓介ならきっといい医者になれると思ってきた。
それなのに・・・
ここまで騒ぎが大きくなってしまったからには、元には戻れないかもしれない。
それでも何とか助けてあげたい。
私はそう考えた。
その考えが間違いだったと、すぐに気付くことになるとも知らず。
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