カレンダーガール
明日鷹先生が手に持っていた袋をテーブルに置いた。

「前に行った中華料理の店で、弁当を作ってもらってきた」

見ると、唐揚げ、春巻き、中華サラダ。デザートのマンゴープリンも全ての美味しそう。

「いただきます」
2人でつつきながらの夕食にも慣れてしまった。

「先生、私はもう大丈夫ですよ。病院の方も忙しいでしょ?」
「どうしたの、急に?」
不思議そうな表情。

「実は、先生のお父様からお見舞いのお花をいただきました」
「ふぅん」
この反応は、やっぱり知っていたんだ。

そのお花には手紙が添えられていた。
手紙には、私の体調を気遣う言葉と、
『今回のことが2人の将来に悪い影を落とさないことを願っている。
もし迷惑でなかったら、君に研修先を紹介したい。
明日鷹には、海外留学のいいチャンスではないか』
と書かれていた。
悪意のない、心から心配している内容だった。

「留学の話があると聞きました」
「うん。時間はまだあるから、ゆっくり考えよう」

そう言うと、明日鷹先生が私の頭をくしゃっとなでた。
先生から、それ以上の答えを聞くことはできなかった。
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