カレンダーガール
4月までの数週間、本当に慌ただしかった。
病院や大学の偉い人との面談が続き、少々疲れた。
もちろん、かなり厳しいことも言われた。
私が今いるのは崖っぷちで、もう後ろはないんだと思い知らされた。

病院長からも、学長からも、
「病院や大学に多大な迷惑をかけたと自覚があるのなら、別の病院へ移るべきだろう」とハッキリ言われた。

最終面接をした小児科部長からは、
「剛先生の強い推薦で受け入れるんだ。何かあれば、彼の責任問題にもなる。そのことを忘れないで欲しい」と念を押された。

唯一味方をしてくれるのかなって思った剛先生も、
「ここまで言われて、本当に戻ってきたいのか?」と、冷たく言われた。

決して誰からも歓迎されてはいない。
でも、私はこの病院にこだわりたい。
それは、明日鷹先生がいるからだけではなくて、今回の行動自体に後悔がないから。
確かに多くの人に迷惑をかけたけれど、悪い事をしたつもりはない。
やり方に問題はあったかもしれないけれど、私は啓介を助けたかった。
その気持ちは今でも変わらない。
また同じことが起きたら、飛び出していくかもしれない。
もちろん今度は、1人で走り出したりはしない。
ちゃんと周りを見て、明日鷹先生にも相談する。

ちょっぴりほろ苦い気持ちのまま、私は新年度を迎えることとなった。
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