カレンダーガール
「申し訳ありません先生。急いでらしたようで、待っていただけなかったそうです」
「たとえ間に合わなくても、呼んでください。お話ししないといけないことがあるからお願いしているんです。徹底してください」
剛先生のいつになく厳しい口調。
外来や病棟で子供達に見せる優しい笑顔は、今は無い。

「申し訳ありません」
師長が何度も頭を下げる。

そんなに怒らなくても・・・と思いながら、私は黙って見ていた。

「あと、501の雪菜ちゃんは眠ったら起きないので、超音波検査はお昼寝の時間に合わせて、眠くなる薬は少なめにしましょう。523のひかりちゃんはお母さんが心配性だから、沐浴の後に点滴差し替えてしまいましょう。511の直也君はおやつをたくさん食べてるみたいだから、食事が摂れるようにさりげなく注意して」
などなど細かい注意を出していく。

子供の個性や、親のキャラまで把握している剛先生。
普段はあんなにちゃらんぽらんなのに、仕事は几帳面で、子供達には優しいのに、治療に関しては絶対に妥協しない。
剛先生の医者としての顔を見たようで、私は言葉を失った。
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