カレンダーガール
しばらくして、搬送されてきたのは生まれたばかりの女の子。
体重2000グラムとちょっと小さいけれど、一見元気そうに見える。

「腹部の超音波とレントゲン急いで」
指示を出しながら、点滴のルートをとる剛先生。

ちっさい。
ルートをとるのも大人とは大違い。

「桜子先生。これ分かる?」
呼ばれて、映し出された超音波画像を見る。

ええっと。
「腹部が膨満してますね。便もたまって、原因は・・・」
大人なら、まず癌やポリープを疑うところだが、
「腸の回旋異常があると思う」

回旋異常。
それは、生まれつき内臓、特に腸の位置が悪く食べ物や便の通過障害が起きる疾患。

「オペですか?」
「多分ね」
その後も血液検査や、頭部CT、心エコーなど次々に検査が行われる。


「先生。お父さんがみえました」
看護師が伝える。

現れたのは、30代に見える男性。
看護師に誘導されて保育器の前でやって来て、足が止まった。
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