カレンダーガール
20分後、電話口で倒れた女性が救急搬送されてきた。

「妻は心臓が悪いんだ。何で、電話で子供の死を知らせるようなまねをするんだっ」
同乗してきた男性が、救急車を降りたとたん大きな声で叫びだした。

「私は救命科の責任者です。対応に不備があり、結果、奥様に発作を起こさせてしまったことは申し訳ありません」
説明しようと一歩進み出ようとした私の前に救命部長が立ち、頭を下げた。
「ですが、ここのスタッフは奥様やお子さんの治療に全力を尽くします。まずは、奥様と息子さんの治療について説明させてください。早くお知らせして、色々決断していただくことがあります」
ご主人は部長の説明に納得したものの、病院の責任者を呼べと言い出した。

10分後、管理当直として残っていた副院長が救急外来に降りてきた。

幸い、女性は軽症で直ぐに元気になった。
息子さんは・・・おそらく時間の問題だろう。
副院長、救命部長、両親の四人はカンファレンス室へ入っていった。
< 13 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop