カレンダーガール
ある日の午後。
NICUでは大きな検査が予定されていた。
それは心臓に疾患がある赤ちゃんに行われる検査で、その検査の為に昨夜から投薬や処置が続けられている。
検査には両親と医療機器のエンジニアも同席し、最新の機器を使った検査になる予定だった。

「桜子先生。薬剤科から予定の薬が残っているようだと連絡がありましたが・・・」
検査の予定時間一時間を切った頃、担当看護師が不安そうな顔をした。

えっ?
「指示は全部出したし・・・果歩ちゃん、午後の薬変更頼んだわよね?」
振り返って果歩ちゃんを見る。

検査のためにはいつもの薬を変更する必要があり、それは今朝のうちに果歩ちゃんに指示しておいた。

ん?
真っ青になる果歩ちゃん。
え、ええー?

「もしかして、変更指示出してないの?」
「すみません」
うなだれる果歩ちゃん。

まずい。
このままでは検査が出来ない。

ほどなくして、エンジニアと家族がNICUへ入ってきた。
心配そうに赤ちゃんを見つめる家族。
テキパキと準備するエンジニア。

私は、薬剤科から投薬するはずだった薬を取り寄せ、点滴の準備をする。
しかし、エンジニア達はすぐに異変に気づいた。
< 130 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop