カレンダーガール
納涼会は2時間ほどで終わったけれど、2次会にも顔を出して、帰る頃には11時になっていた。

「桜子先生、駅まで一緒に行こうか?」
3年先輩の山田先生が声をかけてきた。

繁華街から駅までは徒歩15分ほど。
自宅が駅に近い私は帰り道だし、山田先生は駅でタクシーを拾う気みたい。

「桜子先生って、森先生と付き合ってるんだよね?」
駅までの道、探るように聞いてくる。

「うぅーん、どうなんでしょう?」
私は笑ってごまかすしかない。

「森先生では、手強すぎるなあ」
はあ?
「先輩酔ってますね?」
普段こんなこと言う人じゃないのに。

その時
ブーブーブー。
私のスマホが鳴った。

あっ、明日鷹先生からだ。

鞄から取り出して、出ようとしたとき手が滑って・・・
あっ。
危うく落ちるところを、山田先生がとってくれた。

「ありがとうございます」
と手を出そうとした私。
しかし、山田先生は・・・

「もしもし、森先生ですか?小児科の山田です。桜子先生は僕が送りますので、心配しないでください」
と言って電話を切ってしまった。

えっ、ええっ、嘘ー。
「先生。止めてください」
文句を言ってはみたが、山田先生もかなり酔っていて通じていない。
諦めた私は駅まで行き、山田先生をタクシーに乗せた。
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