カレンダーガール
車の中でもマンションに着いても、明日鷹先生は無言のまま。
部屋に入るとリビングのソファーに座り、私を見つめた。

「どういうこと?」
無表情のまま、最初の言葉がそれだった。

「別に何もないです。たまたま落とした携帯を山田先生が拾ってくれて、酔った勢いで出ちゃったんです」
事実のみを簡潔に説明する。

「2人きりだったんだろ?」
「それは、駅まで方向が一緒で」

はあー。
明日鷹先生の深いため息。

「緊張感がなさ過ぎ」
珍しく怒っている。

「そんなに怒らないでください。飲み会ですよ。酔っ払えば多少羽目を外す人もいるじゃないですか」
「じゃあ、飲み会なんか行くなよ」
「無理言わないで」

働いていれば付き合いだってある。
飲み会だって行かないわけにはいかない。
そんなこと、明日鷹先生だって分かっているはずじゃない。

「男と2人になるくらいなら、俺を呼べよ。迎えに行くから」
「そんな、男って山田先生ですよ?」
「山田は女か?」
「だから、そう言う話しではなくて・・・」

明日鷹先生の主張は理不尽だ。
それに、なんだか凄く腹立たしい。

「もういい、帰ります」
私は我慢できなくなり、荷物を持って玄関に向かった。
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