カレンダーガール
病院三階にある管理職以外の医師が使う合同医局。
そこは大きな部屋の中に、机とラックがやっと置けるほどの小さなスペースがひとりずつに仕切られ並んでいる。
昼間は大勢の人でザワザワしているけれど、さすがに午前3時に残っているのは当直の先生のみで、全体の照明も落とされ所々のデスクに明かりがついている程度で薄暗い。
救急外来からぐっと奥歯をかみしめてここまで上がってきた私は、自分のデスクに着くと明かりもつけずに突っ伏した。

ウッ、ウッ、
ウウッ~
音を立てるわけにもいかず、声を殺して肩を振るわせ泣き続ける。

医者になんかならなければ良かった。
私は向いていない。
悔しい。   
情けない。   
逃げ出したい。
医者になれば、明るい未来が約束されていると思っていたのに・・・何でこんなことになったんだろう。
そう思うと、溢れだす涙が止まらない。

コンコン。
背後からノックの音がした。

振り返ると、少し息を切らしながらまっすぐに私を見ている明日鷹先生がそこにいた。
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