カレンダーガール
スーパーで、パン、ワイン、つまみやおやつもいくつか買って、荷物で両手が一杯になった。

「お邪魔します」
「どうぞ」

お邪魔したのは、明日鷹先生のマンション。
もちろん初めてではないけれど、何度来ても緊張する。
改めてよく見ると、玄関には小さいけれど趣味の良さそうな絵画が飾られ、家具も高そう。家電も最新の物が並んでいる。

「どうしたの?」
部屋の真ん中で立ち尽くす私に、明日鷹先生が声をかける。

「いえ。やっぱり、先生ってお金持ちなんだなあって」
深い意味はなく、思ったことを口にしてみた。

「それって、嫌なの?」
「いいえ。そんなことはないけど、でも・・・不安です」
それは、正直な気持ち。

キッチンで買い物を片付けていた明日鷹先生が、手を止めると私の元へやってきた。

ちょっと背をかがめて、顔と顔がぶつかる距離。
真っ直ぐ私を見ながら、
「今更手放す気はないよ」
そのままギュッと抱きしめられた。

気がつくと、先生の手が私の背中から腰へまわり、器用にスカートのファスナーに手をかけている。

「せ、先生。まだ明るいし・・・」
動揺して声をかけると
「カーテンすれば暗いでしょう」
「いや、それは・・・」

すでにスカートは床に落ち、先生の手はブラウスのボタンにかかっている。

「ちょ、ちょっと待ってください。せめて、シャワーを」
私は、先生の体を押し戻す。

「いいよ。必要ないし」
「いえ、私が嫌なんです」
さすがにそこは引けない。

どうしてもと主張すると、渋々私から離れてくれた。
私は急いでシャワーに向かった。
< 162 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop