カレンダーガール
本当に久しぶりに、紗花と飲みに出た。
店は紗花おすすめの創作料理のお店。
店内も賑わってはいてもゴチャゴチャした感じではなく、落ち着いて話が出来る雰囲気。

「で、どうなってるのよ」
ビールを1杯空けたところで紗花が聞いてきた。
「どうって言われても・・・」

「森先生のお見合いとか結婚とか、事実なの?」
要領を得ない私の答えに、紗花が投げてきた直球。

「分からないわ」
「はあー。なんで聞かないの?」
あきれ顔の紗花。

「実は、聞けないまま喧嘩別れしてしまって・・・」
私は先日の明日鷹先生とのやりとりを、当たり障りのないところだけかいつまんで紗花に話した。

「なんで?付き合っているんでしょ?どういうことですか?って聞けばいいじゃない」
そんな当たり前のことがなぜ分からないのかって口調。

それが出来れば、こんなに悩んだりしていない。
家柄だって決して釣り合ってはいないし、去年のことも含めて私は明日鷹先生に引け目がある。
その気持ちが、素直になれなくしているんだと思う。
もし明日鷹先生に結婚相手が現れたら、私は別れるんだろうなと今でも思っている。

「桜子。森先生はあなたが思う以上に桜子のことが好きだよ。なのに、相手のあなたがいつでも身を引きますみたいな態度とられたんじゃ、そりゃあ腹も立つわよ」
「そんなもんかなあ・・・」
「そんなもんです」
この間まで恋愛とは縁がなかったくせに、その道のスペシャリストみたいな顔をする紗花がなんだかおもしろい。

話しているうちにお酒もすすみ、店を出る頃には2人とも酔っ払っていた。
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