カレンダーガール
その後、2日ほどの正月休みを過ごして私は勤務に戻った。
休みの間に何度かメールで連絡を取り合ったけれど、明日鷹先生も実家に帰ったらしくて直接会うことはできなかった。
当然、妊娠のことも話せないままいつも通り勤務に就く。

「桜子先生。顔色悪いですよ?」
看護師の鋭い突っ込みにも、
「年末年始食べ過ぎたみたいで、胃の調子が・・・」
なんて誤魔化してみる。

「胃の調子が悪いなら、森先生に診てもらえばいいのに」なんて冷やかされながら、私はなんとかその場を逃げた。

その後も、ムカムカ、フラフラ。
それでもなんとか勤務をこなした。


昼休みの職員食堂で、たまたま紗花と一緒になった。

「正月はどうだったの?俊樹さんの実家に行ったんでしょう?」
「まあね。出来るだけお義母さんの手伝いをして、嫁してきたわ」
「へー。紗花がねえ」
不思議そうに見てしまった。

「何よ。桜子だって、森先生と一緒になればそうなるわ」
「・・・」
なんだか想像できない。
その前に、結婚するかどうかも分からない。

「ねえ、桜子。昼食それだけ?」
きつねうどんだけの私のランチを不思議そうに見ている。

「うん。年末年始の暴飲暴食で胃の調子が悪くって」
「気をつけなさいよ。薬だそうか?」
「いや、いい。必要なら明日鷹先生にもらうから」
「そうよね。私なんかより頼りになる消化器科医が付いてたわね」

楽しそうに笑う紗花につられて、私も笑ってみたけれど・・・
私って本当にバカ。どうせ、すぐバレるのに。
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