カレンダーガール
年も明け1週間ほどたった、NICU。
私はつわりと闘いながらなんとか勤務をこなしていた。

食事が摂れなかったりムカムカしたりで正直辛いけど、目の前にはもっと辛い思いをしている子供達がいて、それを思うと頑張れた。

妊娠のことは、明日鷹先生にもまだ話せていない。
会えていないのが一番の理由だけど、避けているのも事実。
無理して時間を作れば会うチャンスはあったけれど、顔を合わせるとどうなるかが不安で、会いには行かなかった。
明日鷹先生も多忙らしくて、今日まで来てしまった。

「すいませーん。レントゲンのポータブルを緊急で。放射線に連絡してください」
剛先生の声。

どうやら、状態確認のためにレントゲンが必要らしい。
一般的にレントゲンはレントゲン室へ行って撮影をする。
しかし、状態が悪くて動かせないときはベッドサイドに機材を持ち込んでの撮影となる。


10分後、放射線の技師がポータブル撮影の機材とともにNICUにやってきた。
テキパキと撮影準備をする放射線技師。
私は見つらないようにソーッとNICUを出た。

後ろの方から、
「あれ、桜子先生は?」
って、剛先生の声がしてはいたけど今は無視。

さすがに、妊娠初期のレントゲンは困る。
念のため、私は逃げ出した。
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