カレンダーガール
結局、私は剛先生の医局で2時間ほど休ませてもらった。
点滴をしているうちに眠くなって、剛先生に起こされて、目を覚ました。

「大丈夫?もう少し休む?」
「いえ、もう大丈夫です」
起き上がると、先ほどまでのふらつきはなくなっていた。

「ありがとうございます。おかげですっきりしました」
「そう。良かった。ちょうど昼だから、食事に行こうか?」
そう言うと、剛先生は1人で出て行く。
私も仕方なく後を追った。


昼時の職員食堂は、かなり人で賑わっていた。

「先生。私、食べられなくて・・・」
注文カウンターまで来たとき、やっと剛先生に追いつき声をかけた。

「分かってるよ。桜子先生が食べたいものを食べられるだけ食べればいい。残りは僕がもらうから」
「え、それはあんまり申し訳ないです」
「倒れられた方が困るんだ。ほら、次の人が並んでいるから、少しでも食べられそうなもの選んで」

仕方なく、なるべくあっさりして臭いのなさそうなものだけを選んで、テーブルへ向かった。
2人分のランチから食べられそうなものだけとり分けてもらい、久しぶりにまともに食事が摂れた。

「剛先生、ありがとうございます。生き返りました」
本心から、お礼を言うと、
「桜子ちゃん」
ひどくまじめな声で名前を呼ばれた。

普段、剛先生は病院で私のことを桜子ちゃんとは呼ばないのに、珍しい。

「誰が一番君のことを心配しているか、分かっているよね?」
「はい」
それは明日鷹先生に間違いない。
「そろそろ限界じゃない?」

剛先生の言いたいことは分かった。
私自身も限界を感じている。
そろそろ話さなくちゃいけないと思っているけれど・・・
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