カレンダーガール

本当に珍しく俺は焦っている。
剛も、桜子も、俺にとっては失うことが出来ない。
もし、もし、剛と桜子が・・・・なんて想像するだけでも恐ろしいが、本当にそんなことになったら俺は・・・

「馬鹿、何妄想してるんだよ」
おかしそうに、剛が笑う。
俺は睨むように剛を見る。

「お前、桜子ちゃんのことちゃんと見てる?」
はあ?
「どういう意味だよ」
「だから、桜子ちゃんが急に痩せたとか、体調が悪いとか、気づかない?」

桜子が痩せた?
言われてみれば確かに。
顔色だって悪いし、一緒にいてもあまり食べない。

「どこか悪いのか?」
いや、もしそうなら俺に相談するはず。

「お前に言いにくい事情があるのかもよ」
俺に言いにくい事情って・・・

「剛、お前は知っているんだろう?教えてくれ。頼む」
テーブルに手をついて、頭を下げた。

「馬鹿、やめろ」
呆れている剛。

残っていたビールを一気に空けると
「なあ明日鷹、年頃の女の子が食べられなくて体調不良が続いたら、まず何を疑う?」
「え?」
驚く俺を横目に、
「後は本人に聞け」
剛はそれ以上何も言わなかった。
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