カレンダーガール
翌日。
俺は桜子を呼び出した。
仕事が・・・
体調が・・・
と、ためらっていた桜子を半ば強引に自宅に呼んだ。
確かに、幾分顔色が悪く以前より痩せた印象だ。
「桜子。俺に何か言うことはない?」
リビングのソファーに座りながら、真っ直ぐに見る。
しばらくだんまりを決め込んでいた桜子が、
はぁー。
大きな溜息をついた。
「剛先生から何か聞きました?」
「剛には言えて、何で俺には言えないんだよ」
「・・・」
うつむく桜子。
「何でそうやって1人で抱え込もうとするの?俺を頼ってくれないの?黙っていても何の解決にもならないだろ?」
目を逸らそうとする桜子を見ながら、つい冷たく言ってしまう。
「妊娠しているんだよな。なぜ黙っていた?」
「先生の負担になりたくなかったんです」
負担?
一体何が誰の負担になると言うんだ。
妊娠を知ったら俺が逃げ出すとでも思ったのか?
馬鹿な・・・
自分でも段々不機嫌になっているのが分かった。
しばらく続いた沈黙の後、
「黙っていてごめんなさい。でも、近いうちに話すつもりでした。ずっと隠しておくつもりはなかったんです」
桜子が謝る。
嘘ではないのだろう。
それは分かる。
でも、笑って「分かったよ」なんて言える気分ではなかった。