カレンダーガール
翌朝。
私は剛先生に電話をかけた。

『どうしたの?』
早朝の電話に驚いた様子の剛先生。

「昨日、明日鷹先生に話しました」
『そう。仲直りできた?』
「いえ、黙っていたことを叱られました。先生は大丈夫ですか?」
『俺?』
「喧嘩とか、してませんか?」

ハハハ。
笑われた。

『俺と明日鷹はつきあいが長いからね、これくらいでは喧嘩にはならないよ』
「そうなんですね」
なんだか羨ましいな。

『で、今日はその報告?』
「それもありますし、お願いがあって・・・」
『お願い?』
ちょっとだけ真面目な声の剛先生。
「電話でするお願いでないのは分かっていますが・・・出来れば1週間くらいお休みをいただけませんか?妊娠が分かってからも勤務が忙しくて、考えを整理する時間がなかったんです」
『1週間?』
「はい」
『まさか、どこかに1人で逃げる気?』
「・・・」
黙り込んでしまった。

『まあいいよ。今日から1週間の休暇を取ってくれてかまわない。病院には連絡しとくから。ゆっくり休みなさい』
「ありがとうございます」
お礼を言って、私は電話を切った。

その後、5分と経たずに明日鷹先生からの電話が鳴ったけれど、私は出なかった。
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