カレンダーガール
4日目
いつものように目覚めて、私は小さな悲鳴を上げてしまった。

下着に残った小さなシミは、出血の痕跡。
見た瞬間、医者のくせに動揺した。

妊娠初期の出血は安静しかない。
どんなに手を尽くしても、流産するときはしてしまうから。
大学で習ったから分かってはいるのに・・・涙が止まらない。

私はなんて馬鹿なんだろう。
どうして今まで病院に行って検診を受けなかったんだろう。
今更後悔しても遅いのはわかっていて、「こんなママでごめんね」とお腹に声をかける。
私はひたすら出血が止まることを祈りながらベットに横になったが、その後も出血は少しずつ続いた。


丸一日悩んだ末、私は携帯に手を伸ばした。
病院を探して1人で受診することも考えたけれど、こんな時頼るのは結局明日鷹先生だった。

プププ

『もしもし、桜子?』
短いコールの後、明日鷹先生は電話に出た。

「先生」
それだけ言うと、涙が溢れだした。

『どうしたの?今どこ?』
それは優しい声。

私は迷うことなくホテルの場所を伝えた。
< 223 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop