カレンダーガール
週末。
私は病院近くの店で明日鷹先生のお母様と会うこととなった。

私が着いたのは６時過ぎ。
店は小さな料亭。
すでにお母様が予約していて、個室に案内された。

「失礼します」

部屋にはうちの母さんより少し年上に見える女性が待っていた。
上品で、優しそうな笑顔を向けているこの人が、明日鷹のお母様。

「どうぞ座って。つわりがあるって聞いたから、食べやすそうなものを頼んだけれど、良かったかしら？」
「はい」
どうせあまり食べられないし。

私はお母様と向き合って座った。

「はじめまして。明日鷹の母です」
「鈴木桜子です」

お母様は、いかにも奥様って感じの上品な婦人。

「桜子さんはおいくつ？」
「２５歳です」
「お若いのね。明日鷹とは１０歳違い？」
「はい」

お母様が選んだメニューは私好みのあっさり味で、匂いが少なくて食べやすい物ばかり。
匂いが苦手なご飯の替わりにうどんまで、
えっ？

「ごめんなさいね。明日鷹にあなたが食べられるものを聞いたの。もちろん、今日会うことは伝えてないわ」
「そうですか。気を遣っていただいて、ありがとうございます」
私は素直にお礼を言った。
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