カレンダーガール
午後6時半。
母さんの店『小料理屋 桜音』。

「こんばんは、ママ」
「いらっしゃい。紗花」
いつもと変わらない挨拶をして、奥のテーブルに着く。

そこには、すでに連れが待っていた。

「ごめん待った?」
「いや、俺も今来たところ」
ビールを飲みながら言う男性。

彼は、飯田啓介26歳。
2浪したため歳は2つ上だけど、私たちと同じ研修医1年目。
今はうちの病院の整形外科で研修医をしている。
そして、彼は・・・私の元彼。
大学1年から4年間つきあって、別れた人。
だからといって喧嘩別れしたわけでもなく、お互い実習や勉強が忙しくて、つきあっていくことが負担になり始めて自然消滅してしまった。
ただ、元々3人で遊ぶことの方が多かった私たちは、今でもこうやって一緒に飲みに行く。
周りから見れば、きっと変な関係に見えることだろう。

啓介は、頭が良くてとっても器用で、その上人当たりがソフトで優しい。
とにかく、笑顔の人だ。
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