カレンダーガール

私はしばらく泣き続けて。
そして、ふと思った。

「私がついて行く」
「はあ?」
聞こえてきたのは驚いた声。

「だって、私が一緒に行けばいいことじゃない」

はあー。
明日鷹は大きなため息をつくと、
「仕事はどうするの?」
冷たい声で言った。

「辞める」
そうすれば一緒にいられるじゃない。

それまで抱きしめていた肩を押し戻した明日鷹が、睨むように私を見ている。

「そんなこと言うんじゃない。君は1人の力で医者になったと思っているのか?違うだろ。周りの応援があって今の君がいるはずだ。それなのに、医者を辞めるなんて軽々しく言うもんじゃない」
叱られてしまった。

「じゃあ、どうするの?別れるの?子供まで出来たのに私を捨てるの?」
ちょっとやけになって、八つ当たり。

「桜子、落ち着いて。確かに理不尽な話だと思うけれど、どうしようもないんだよ」

長い沈黙。
私も明日鷹も、答えのない難題に黙り込む。

結局、明日また会う約束をして私は自宅に帰った。
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