カレンダーガール
「お互いの勤務のことも、子供のこともあって大変だと思うけど、俺は桜子がいいんだ。結婚しよう」
突然、彼からのプロポーズ。
ソファーから起き上がった私は指輪の入った箱を受け取った。
嬉しい。嬉しいに決まっている。
でも、言葉が出ない。
「不安なのは分かるけど、このまま意地をはっても孫をあきらめる様なうちの親じゃないぞ。だから、俺と一緒になろう」
優しい顔。
私は隣りに来てとお願いし、膝枕してもらって目を閉じた。
「ねえ、明日鷹?」
「何?」
「何で私なの?」
今までずっと思ってきたこと。
家柄も良くて、見た目だって悪くない。
優しくて、性格のいい医者なのに。
何で私なんかを選んだんだろう。
取り立てて美人でもないし、家柄が良いわけでもない。
去年の事件もあり、マイナスポイントしかないはずなのに・・・
「理由なんてないよ。気がついたら桜子が俺の心の中にいた。危なっかしくて放っておけなくて、いつの間にか好きになっていたんだ。桜子こそ、俺でいいの?」
「ん?」
「10歳も年上だし、親もうるさいけれど、いいの?」
珍しく弱気な発言。
「明日鷹がいいの」
私は起き上がって唇にキスをした。
抱き合って、時々点滴を落としそうになりながら、私たちは仲良くなった。