カレンダーガール

7月 医師として

午前8時半の病棟センター。

「桜子先生、おはようございます」
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
朝礼中の看護師さん達の間を抜けてデスクに向かい、昨夜からの申し送り事項を確認する。

よし。
昨日の夜も平和だったみたいね。
今日も一日頑張ろう。

「桜子先生、今日は外来?」
当直明けの明日鷹先生から声がかかった。
「いいえ。朝は病棟で、午後から内視鏡です」
「そう」

研修医として勤務して4ヶ月。
仕事にもだいぶ慣れた。
日勤帯のスタートはまずは受け持ち患者さんの状態を確認して、その後検査と処方をオーダーを出してから朝の回診を待つ。これがいつもの日課。

「桜子先生」
なんだか申し訳なさそうに病棟看護師の結衣ちゃんが近づいてきた。

「どうしたの?」
「302の患者さん。午後から検査なんですけど、点滴の指示が出てなくて・・・出していただけます?」
なるほど、そういうことね。

担当は・・・井上先生か。
「今日はお休み?」
「そうなんです。お願いできますか?」
「いいですよ」

看護師さんも、研修医の方がきっと頼みやすいのだろう。
一応患者さんの状態を確認してから指示を出した。

「ありがとうございます。これ、頂き物ですけどどうぞ」
事情を聞いていた師長もお礼を言い、私の横にチョコレート一つを置いた。

「ありがとうございます」
チョコを頬ばりながら、コーヒーを一口。
うん、美味しい。

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