カレンダーガール
「大丈夫ですか?」
私は駆け寄り、お母さんを助け起こす。

「翼くん。みんながあなたを心配しているんだよ。もう少し、頑張ろう」
本当なら怒鳴りつけたい気持ちを必死に抑え、私は翼君に話しかけた。
「先生には分からないよ。毎日ここにいることしか出来ない俺の気持ちなんか分からない」
「・・・」
そんな風に言われると、返す言葉が見つからない。

「もー終わりにして!死なせろよー」
叫びながら、点滴のルートに手をかける翼くん。

「ダメッ」
反射的に私は翼くんに飛びかかる。

結果、私達はもみ合う形になった。

力尽くで止めようとする私と、暴れる翼くん。
まさに取っ組み合い。
お互い遠慮などなく、バシバシと鈍い音が響く。

その時、

バンッ。
病室のドアをたたきつける音で、私と翼くんの動きが止まった。

「何してるの?」
低く冷静な明日鷹先生の声。

「あの・・・」
説明しようとする私も、混乱していて言葉が出ない。

しばらく病室の中を見ていた先生は、
「お母さん、翼くんと話しますから。少し外してもらっていいですか?」
そう言うと、私と看護師さんにも病室を出るように指示した。
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