カレンダーガール
「それに、紗花も苦労人なんですよ。実の父親は暴力を振るう人で、紗花もママも苦しんだそうです。父と出会う少し前に事件を起こして捕まったと聞きましたけど、今でもどこかに生きています。見えないけれど、紗花はおびえながら生きているんです」

私は明日鷹先生に何もかも話していた。
自分のことだけじゃなく、紗花の秘密までも。
おかしいなあ、こんなにペラペラと話すことはないのに。

「桜子先生、今度の休みはいつ?」
唐突な質問。

「何でですか?」
つい身構えてしまう。
「コーヒーメーカーを買いに行こうよ。夕食もご馳走するから」
「はあ」
「迷惑?」
「いえ。今度の土曜日が休みですが・・・」
「じゃあその日に。僕も時間作るから」
そう言うと、私の返事も聞かずに立ち上がり、
「ほら、仕事に戻るよ」
明日鷹先生はエレベーターへ向かって行った。
< 39 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop