カレンダーガール
明日鷹先生のおすすめの店は、とてもおいしかった。

ちゃんと個室を用意してくれて、出てくる料理もいろんな種類が食べられるように小盛りになっていた。
生まれて初めて北京ダックを食べた私はひとりで盛り上がり、デザートのツバメの巣のおいしさにはしゃいだ。

「気に入ってくれて良かった」
その様子を見ていた明日鷹先生もうれしそう。

「すごくおいしかったです。ごちそうさまでした」


その後、約束通り高台にある公園でベンチに座り夜景を眺めた。

「綺麗ー」
「確かに、綺麗だね」
周りはカップルばかりでちょっと恥ずかしさもあったけれど、私は明日鷹先生としばらくの間座っていた。

夜景を堪能した後、私たちは公園の中をブラブラしながら駐車場へ向う。

その時、
「あら、森先生?」
30歳くらいの女性が声をかけた。

「ああ、中村さん。その後いかがですか?」
「はい。おかげさまで順調です」
どうやら患者さんみたい。
「薬はきちんと飲んで、食事には気をつけてください」
すっかりドクターの顔になってる明日鷹先生。
    
ん?
女性の視線が私に止まった。
けれど、何も聞かれないしもちろん明日鷹先生も何も言わない。
結局、私は明日鷹先生とともに軽く頭を下げ、その場を立ち去った。
< 45 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop