カレンダーガール
私は気づかれないように、そっと方向転換した。
そのとき、

「あら、あなた」
なぜか美女の方が声をかけてきた。

えっ、私?
思わず辺りをキョロキョロしてしまった。
当然、振り返った明日鷹先生とも目が合ってしまう。

「お疲れ様です」
気づかれた以上仕方なく挨拶をして、ペコリと頭を下げた。

「ああ、お疲れ様」

「あなた、いつも明日鷹と一緒にいるでしょ?」
にっこり笑顔の美女。

「僕が彼女の指導医だからね」
無表情の明日鷹先生がフォローする。

「じゃあ、あなたは研修医?」
「はい」
ランチののったトレイを持ったまま返事をすると、
「今からランチでしょ?良かったら一緒にどうぞ」
美女に席をすすめられた。

え?ええ?
チラッと明日鷹先生を見ると、困った顔をしている。

「ねえ、いいでしょ?」
美女は明日鷹先生に同意を求め、
「君たちさえ良ければ、どうぞ」
そう言うと食事を再開した。
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