カレンダーガール
唯ちゃんと待ち合わせしたのは、オープンしたばかりのスペイン料理店。

「桜子先生、和泉先生」
すでに唯ちゃんともう1人、病棟看護師の遙香ちゃんが店の前で待っていた。

「お待たせ」
「私達も着たところですから。あの、実は・・・あと4人連れがいまして・・・」
言いにくそうな唯ちゃん

「合コンだったの?」
状況を素早く理解した紗花が突っ込む。

あー、そういうことか。

「すみません。黙っていて」
唯ちゃんと遙香ちゃんが頭を下げるけれど、
「別にいいわよ。私、この店のパエリヤが食べたかったの」
紗花は気にしない様子。

「私も別にいいけど」
今更帰る訳にもいかず、なんとなく流れに乗ることにした。

「ただ一つだけ、」
まじめな顔をして、紗花が条件を出した。

「何ですか?」
結衣ちゃんたちも緊張した顔。

「4人とも看護師って設定にしてくれる?」
「なんで?」
思わず、私が紗花に聞き返す。

「女医って言うと引かれるから嫌なのよ。下手したら、健康相談してくる人までいるし」

「分かりました。今日は紗花さん、桜子さんって呼びますね」
唯ちゃんはそう言うと店のドアを開けた。
< 54 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop