カレンダーガール
することのなくなった私は、キョロキョロと内視鏡室を見て回る。
午後だけあって、患者さんは少なめのようだ。

「あの、すみません」
70代くらいのおばあちゃんに声をかけられた。

「どうかしましたか?」
今日が一日目の研修医とは言え白衣を着ていれば病院のスタッフ。声をかけられれば対応するしかない。

「昨日からずっと下剤を飲んで・・・気分が悪いんです。お水を少しいただけませんか?」
「下剤? ああ、今から大腸カメラですね?」
水は・・・処置が終わっていれば大丈夫だけど・・・
「待っていてください。もらってきます」
私は立ち上がると、処置室へ向かった。

「すみません。あちらの患者さん気分悪いらしくて、お水をいただいてもいいですか?」
「・・・」
忙しくバタバタと動き続ける看護師さんからは、返事が来ない。
「あの・・・」
さらに声をかけると、
「お水より、前処置の下剤を飲んでもらった方がいいんですけど。まぁ、どうぞ」
少々無愛想に、水を差し出された。

忙しいのはわかるけれど、冷たすぎる態度。
でも、気にしない気にしない。

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