カレンダーガール
「鈴木先生。あなた、良い子すぎるわ」
「それは・・・」
どういう意味だろう。

「今回のことは森先生のやり過ぎよ。あなたは怒ればいいの」

そんなこと言ったって、すべての原因は私なのに。
私が悪いのに・・・

「改めて聞きます。鈴木先生、あなたは森先生に対して特別な感情がありますか?」
「いいえ」
即答した。

「好意も悪意も?」
「ありません」
勢いで言ってから、ちょっと考える。

尊敬できる上司で、素敵な男性で、あこがれの人ではある。
もちろん、それ以上を望むつもりは無いけれど。

「このまま、森先生が指導医でいいですか?」
「・・・」
黙ってしまった。

「どうしたの?」
私をのぞき込む部長。

「森先生は、どう思っているのでしょうか?」
「あなたたちは・・・」
部長があきれている。

「森先生も、あなたが嫌でなかったらこのままでいいと言っていたわ」
「そう、ですか」
それを聞いて、ちょっと胸が熱くなった。

「なんて顔してるの。では、人事はこのままで。2人には厳重注意処分とします。今後は医師として自分の行動に責任を持てください」

「はい」

「救急の当直はどうするの?キャンセルしてもいいのよ?」
「いいえ、自分へのペナルティーだと思ってやります」
「分かったわ」

部長はそれ以上何も言わず、今回の件はこれで終わった。

私はその足で明日鷹先生の医局へ向かった。
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