カレンダーガール
幸い、今日は患者の数も少なく落ち着いてる。
来るのは、発熱の子供や薬の欲しい常連患者ばかり。

「センセー、薬が切れて、苦しーよー」
奥の診察室から聞こえる声。
この声は、週に2度は顔を出す常連患者だ。

はあー。
私はため息をついてから、診察室へ向かった。

診察室のベットで横になる患者は、30代後半の女性。
髪は金髪ボサボサで、体からはアルコールとたばこの臭いがする。

「ここは救急だから、薬は出せませんよ」
ベットに横たわる彼女に声をかける。
「はぁー?何言ってるの?あんたじゃ話にならない。川上先生はいないの?」
「川上先生が診ても同じです」
「いいから、違う先生呼びなさいよー。誰かー誰か来てー」
怒り、叫び出す患者。

こんな時、以前だったらひるんでいただろうけれど、今はもう慣れた。
大声を出されても怖くはない。

「1日分だけ処方を出しますから、明日必ず外来に受診してください。それが嫌なら警備を呼びます。どうしますか?」
「うっ」
しばらく私を睨んでいた患者。

「分かったから、薬をちょうだい」
これ以上言っても無駄と諦めたように、納得して診察室を出て行った。
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