カレンダーガール
急いで着替え内視鏡室へ戻ると、
「桜子先生、ちょっと来て」
胃カメラ室から明日鷹先生の声がした。

呼ばれて入った検査室の中は、かなり薄暗い。

「機械類が多いから、踏まないように気をつけて」
動きの止まってしまった私に、明日鷹先生の注意する声が聞こえた。

患者さんのベットを中心に4畳ほどの広さの検査室は、機械やスッタフも入って窮屈で狭い印象。
今は中央のモニターに患者さんの胃の中が映っている。
静かな検査室でカメラを操作する音だけが響き、その後20分ほどで検査が終了した。

検査をしていた患者は、高齢の男性。
看護師さんが口の周りを拭き、体を起こして介助している。
あっ、付き添っているのはさっき足を引っかけた看護師さんだ。
どうやら患者さんには親切らしい。
なんだか腹立たしいな。
そんなことを思っていたら、声がかかった。
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